生命保険業界の未来

生命保険業界の未来は、明るいとは言えない。

大きな収入源となっている国内市場は、加入者数の飽和や人口減少トレンドにより、縮小傾向にある。

 

これを受けて生保各社は、客単価を高めることで収益アップを図っている。

取扱う商品の数を増やしている。例えば、損害保険や貯蓄型保険も一緒に販売したり、あるいは健康増進型保険のような第三分野の保険商品の販売に力を入れたり、お客さんの希望に合わせて保険商品の中身を入れ替えられる商品を販売したりしている。

 

しかし、この取組では十分とは言えない。私はもっと、大きなことをしなければならないと思っている。

私が考える解決策は二つある。

第一に、営業職員の能力を更に上げ、包括的な金融コンサルティングサービスを提供すること。

第二に、生命保険を起点に、介護事業や買い物支援事業など、事業までをも提供するプラットフォームビジネスを展開すること。

 

第一について。要は客単価を上げるということだ。各社が実際にやっている施策と方向としては似ている。私の案では、それをもっと深める。

現状の営業職員は、定型化された保険商品を販売している。生命保険だけでなく、損害保険や貯蓄型保険を売っていたりする。たしかに、中身を組み替えられる保険もあるけど、コンサルティングはあまりしていない。

私の理想は、営業職員さんに相続とか資産承継のコンサルティングをやってもらうようにすることだ。イメージ的には、プルデンシャル生命の営業マンがやっているようなことを、生保レディにもやってもらいたい、ということだ。

しかし、これは実現が難しい。営業職員にはキャパオーバーだ。いまでも相続や資産承継のお手伝いは生保各社が挑戦しているところであるが、例えば本社職員や銀行の営業マンが営業職員に同行して、知識の補完を行っている。営業職員が最初から最後まで営業できなければ、コストに見合うリターンは得られない。

 

第二について。困っているときに支えるのみならず、保険商品の契約を顧客接点として、実用的な支援を行う。

・バス会社と食品販売会社と連携して、週に二回スーパーへの送迎サービスを提供することで、買い物支援を行う。

・老人保険積立商品を作り、老後の生活に向けて貯蓄してもらう。生命保険会社が自前で老人ホームを作り、運営に深く携わる。

・スポーツジムのようなヘルスケア会社と連携して、保険の特約やサブスクリプション型商品として、ジム参加券を売る。

このように、保険商品を接点として、プラットフォーム型のビジネスを行う。その中で得られた情報をもとに、新しい保険商品を開発したり、情報を販売したりする。地域の人々の生活を包括的に支えられるだけでなく、地域における産業の振興や雇用の創出にも繋がる。

 

私としては、第二の分野を手掛けたい。高齢化はチャンスでもある。老人ビジネスにおいて、プラットフォーマーとなるためには、対面のリアルチャネルが欠かせない。その中で、全国に営業拠点を有する生命保険会社は、その強みを活かすべきである。